初心者からプロまで大注目の『ひふみ投信』とは?

今回は、国内ファンドの中でも注目を集め続けている「ひふみ投信」を紹介します。

レオス・キャピタルワークス株式会社が運用するひふみ投信は、格付投資情報センター(R&I)による【R&Iファンド大賞】を投資信託/国内株式部門で2012年~2015年まで4年連続受賞。さらに2019年にも投資信託10年/国内株式部門で【最優秀ファンド賞】を受賞しています。

リスクを抑えながらもリターンを得られる投資信託で、最低投資額は1000円、引き落とし日と金額を自由に決められる積み立て方法もあり、初心者にもはじめやすいのも魅力的です。

今回はキーワードをもとにして、ひふみ投信とは一体どういう投資信託なのか詳しく解説していきます!

ひふみ投信を知るキーワード

ひふみ投信を知るキーワードとして、「日本企業」「成長企業」「アクティビストファンド」「藤野英人」の4つのをここで挙げています。順番に見ていきましょう。

ひふみ投信を知るキーワード1 「日本企業」

ひふみ投信を運用する「レオス・キャピタルワークス株式会社」も、日本の独立系資産運用会社です。
2003年4月にレオス株式会社として設立。2009年2月 ISホールディングスの子会社になりますが、この株式会社ISホールディングスも日本の会社です。

そして資産配分比率も国内株式が86.0%(2020年1月度 運用レポート・運用報告書)と、日本企業への投資が大きいのも特徴です。

投資信託では、国内株式は大きなリスクを避けるために選ばれることが多いのですが(対して新興国株式などは経済成長を背景に、ハイリターンが期待されるもののハイリスクと隣り合わせなのが特徴)ひふみ投信が国内株式の比率が大きいことを知ると「資産を守る」にも納得できますね。

ひふみ投信を知るキーワード2 「成長企業」

日本の株式を多く保有することで資産を「守る」が実現しやすくなるとはいえ、それだけではより多く「増やす」ことは難しくなってしまいます。

なぜ、ひふみ投信はリスクを低く抑えつつも高いリターンが期待できるのでしょうか?
それは、ひふみ投信は成長企業を発掘し、社会的意義や日本の将来も考えて投資する、というスタイルをとっているからなのです。

要は、これから成長する企業を見つけ出すことに長けているということですね。

ひふみ投信について調べてみると、「足で稼ぐ」というちょっと泥臭い言葉もよく出て来ます。
「定量」(財務指標や株価情報等の数値)の面だけでなく、「定性」(経営方針や戦略など数値に表れない部分)の両面から徹底的な調査・分析を行っているのですが、特に「定性」に関しては投資先に考えている企業を訪問し、働いている人と直接会う、社風がどうなのか現場を見る、などのことを通して「これから成長する企業なのかどうか」を見極めています。

ひふみ投信を知るキーワード3 「アクティビストファンド」

アクティビストファンドとは、「物言う株主」と一言で言われることが多いワードです。
そう聞くと投資先に言いたいことや無理難題を押し付ける……、というようなイメージを持ってしまうかもしれませんが、決してそのような面だけではありません。

特定の企業の株式を、一定量以上保有することで経営に大きな影響を及ぼすのですが、投資リターンを得るには、投資先の企業がきちんと経営できていなければなりません。
そこで、必要なときは改善策の提案などを行います。

ひふみ投信が資産を守りながらも高いリターンを得ることができているのは、投資して終わり、ではなく「アクティビストファンド」であることもひとつの要因と言えるでしょう。

ひふみ投信を知るキーワード4 「藤野英人」

ひふみ投信を語る上で絶対に欠かせないのが、レオス・キャピタルワークスの代表取締役でもある藤野英人氏の存在です。これまで数々の書籍を出版しているだけでなく、テレビやメディアに何度も登場しています。

彼が一体どういう人物なのか? どういう考えのもと投資を行っているのか?
少し前のものになりますが、こちらの一連の記事を読むとよくお分かりいただけると思います。→https://www.1101.com/fujino/2014-05-13.html

  • 企業の成長を応援するために、投資をする。
  • 投資の本質は、自分だけがいかに儲けて得するのかを考えるマネー・ゲームのようなものではない。
  • 経営者や働いている人がいきいきしている企業が伸びる。

というような内容が、特に印象に残りますね。

キーワード1~3についても、投資家・藤野英人の考え方を知ることでより深くその理由に納得がいきますね。

ひふみ投信のマイナス要因やデメリットについて

キーワードの説明を聞くとメリットばかりのように思えますが、デメリットやリスクについても知っておきましょう。

日本全体の株価暴落などのリスク

これが最も大きなデメリットと言えるでしょう。

ひふみ投信は日本の中でも、成長の可能性が大きい企業を見極めて投資しています。とは言え、これから先何かのきっかけで日本全体が大恐慌に陥ってしまうような可能性もゼロとは言えません。そのような事態になったとき、ひふみ投信はかなり打撃を受けるかもしれません。

もちろんリスクヘッジとして海外の株式を組み入れていますが、いざ日本で何かあった場合は影響を受けやすい、ということは間違いありません。

東京証券取引所マザーズ市場へ上場予定だったが、中止

2018年12月25日、レオス・キャピタルワークスは東京証券取引所マザーズ市場へ上場予定でした。→https://www.rheos.jp/information/news/2018/20181119-1.html

しかし直前の12月20日に、中止に関するお知らせがホームページの「ニュースリリース」で発表されています。→https://www.rheos.jp/information/news/2018/20181220.html

その理由が気になるところですが、

「当社のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性について投資家保護の観点から深掘りすべき事項が発生し、平成30年12月20日開催の当社取締役会において、当該深掘りに時間を要するものと判断したこと」

と記されています。

今のところ目立った事件や運用の妨げになるような障害は起きていません。
ただ、ひふみ投信や運用しているレオス・キャピタルワークスについては不安要素がゼロで、100%安心して任せていれば大丈夫、というものではないことは理解しておいた方が良いでしょう。

これは、全てに言えることでもありますけどね。

投資信託だからこそのリスク

ひふみ投信は投資信託である以上、投資信託の特徴やデメリットも兼ね備えています。
例えば「元本割れをする可能性がある」「短期で資金が大きくなる可能性は低い」などです。

資金を預けていればすぐに思い通りの金額に増える、という性質のものではありません。ひふみ投信であってもそれは同じことが言えます。

ひふみ投信、運用実績は?

やはり気になるのは、一体どれくらい資金が増えるのか、基準と比べて大きくなるのか、それとも期待できないのか、ですよね。これまでの実績をもとにある程度分かっておきたいものですね。

運用レポートをもとに考察していきましょう。

TOPIXよりも、大きなリターンを得られる結果に!

2020年1月度のレポートを見ると、特に長期間で見た場合、日本の株価推移の目安となるTOPIX(東証株価指数:東京証券取引所第一部に上場されているすべての銘柄の時価総額⦅株数×1株当り時価⦆の合計を指数化して算出)よりも、はるかに良い運用成績となっています。

図の上の方にある「基準価格の推移」の基準価格とは、「ひふみ投信」の一万口あたりの値段のこと。
そしてひふみ投信の当初設定日の前営業日(2008年9月30日)を10,000円として指数化し、基準価額とTOPIXのグラフや設定来の運用成績の表を作成しています。(運用レポートの説明より)

そして図の下の方にある「運用成績」にも「設定来」という言葉が出て来ますが、これは簡単に言うと「ひふみ投信がはじまって以来」、ということです。

一番大きな差が出ているのは、一目で分かりますが「設定来」の運用成績ですね。

ひふみ投信で運用がスタートしたのは2008年10月1日ですが、もし目安となるTOPIXの運用成績だった場合は元本+95.9%の金額になったのに対し、ひふみ投信で運用を続けた場合は元本+386.5%の金額になった、ということです。

各年の運用成績など、もっと詳しく知りたい人は、「運用レポート・運用報告書」で確認することができます。
情報をきちんと開示し、透明性が高いことはひふみ投信のメリットだと言えますね。→https://www.rheos.jp/toushin/about/report/

ひふみ投信にも種類があります

ここまで「お客様に直接販売」という形式の「ひふみ投信」について説明してきましたが、他にも「ひふみ」というワードが入った商品もあるのでご紹介します。

ひふみプラス

お客様に直接販売、ではなく、「販売会社を通じて購入できる」投資信託です。

ひふみ年金

確定拠出年金制度を通じて購入できる投資信託です。
最近では「iDeCo(イデコ)」という単語もよく聞きますが、国だけに頼らず将来年金を受け取れるように今のうちに投資・運用していくということですね。税制面のメリットが大きいのも特徴です。

ひふみワールド

ひふみ投信は国内株式の保有率が大きいのが特徴、とこれまで説明してきましたが、ユーザーのニーズも後押しとなって2019年10月に新たに海外の成長企業に投資をする「ひふみワールド」がスタートしました。
取り扱いが海外になっても、「これから成長する企業を見極め、投資する」「定量の面だけでなく、定性の両面から徹底的な調査・分析を行う」という基本的なスタンスは変わっていません。

ひふみワールド+

先ほど挙げたひふみワールドは「お客様に直接販売」ですが、「販売会社を通じて購入」の「ひふみワールド+」もあります。

ひふみ投信のジュニア口座「くるみ」

「できるだけ安いコストで、幅広いお客様の資産形成を長期にわたって応援したい」という思いのあるひふみ投信。その思いがよく表れているのが、ひふみ投信の中でもゼロ歳から子どもの名義で口座が開設できるジュニア口座「くるみ」です。

子育てとなると大きな出費は避けられません。また、経済的理由により子どもの将来を狭めてしまうことも起こり得ます。
子どもの成長のために、この「くるみ」は大きな出費に備えて投資信託でお金を積み立てることができます。満期がなく、成人したときは解約することなく引き継ぐことも可能です。

ひふみ投信の自由つみたて

銀行口座から毎月、自分が設定した同じ金額を引き落とすこともできますが、それだけでなく、例えばボーナスが入る月だけ多く運用に回したい、というよう場合には、「何月に」「何円」引き落とすということも自由に設定することができます。

毎月の引き落としはなかなか厳しい、という人でも気軽に積み立てることができますね。

ひふみ投信の長期保有で「応援金」がもらえる!?

こちらはひふみ投信にしか見られない制度です。
「資産形成応援団」という仕組みで、長期にわたる資産形成を応援します、というもの。ひふみ投信やひふみワールドは、5年以上保有しているとなんと「応援金」が還元されるのだとか!

「資産形成応援団」とは一体、何?

(ひふみ投信 サービス一覧 資産形成応援団 より)

5年以上、または10年以上継続して保有されている受益権口数に対して、表の年率分の応援金を還元するという仕組みです。

具体例で説明すると、例えば時価で100万円分を、ひふみ投信で所有していた場合、5年以上だと年率0.2%なので2000円分が還元されます。一回限りでなく毎年です。

10年になるとその割合が年率0.4%、つまり4000円分がまたあらたに還元されていきます。

還元された金額が銀行口座に振り込まれる、というのではなく、その「応援金」でまたあらたにひふみ投信を買い付けていくというものです。
(実際には途中で買い増しや価格変動などにより金額は変わっていきますが、分かりやすくするため一定の金額で説明しています)

まとめ

ひふみ投信について説明してきました。

制度の面からも、実績を見てみても、中~長期の運用に適していると言えますね。2008年の運用からみると+386.5%、というのもとても魅力的です。 

ある程度の投資経験のある人だけでなく、初心者にも取り組みやすい投資信託です。ただ、投資である以上はデメリットも理解しておくことも大切です。

海外の投資信託に興味がある人は、あわせて「ひふみワールド」も考えてみるのも良いでしょう。
こちらはスタートして間もないため、まだ判断材料が少ないのも否めませんが、「はじまったばかりの投資信託は一体どのような価格の推移をしていくのか」「同じレオス・キャピタルワークスが運用しているが国内と海外でどのような違いが出るのか」を体験・勉強することもできます。

くれぐれも投資は、無理のない範囲で行うようにしましょう。投資先や投資信託を選ぶ際の参考にしてください。